おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

駅前の恋しがり

三角屋根も形を変えて

広場は洒落た人の行き交い

そんな思い出の光景もまた

さらに変わりゆくと知らせを聞く

 

愈々なくなる情緒だとか

パンの香りが好きだったのにな

どこかで見たような駅前になる

 

遠く懐かしむものだけが美しいと

決めて掛かりたくはないけれど

どうしたって人情

そういうものでしょ

 

また街歩きが恋しくなる

 

港近く

落ちこみながらも

すっと背筋の伸びる道

小さな頃は遠く思えた

この距離こんなに近いとは

 

ひとつひとつ辿ってゆけば

来るたび繋がってゆく細道も

好きだったのよ

好きだったのよ

無責任に恋しがる

 

大切な人に会って

景色に色がつくとは

よく言うけれど

私にとってはいちばんの

 

三角屋根が微かに見えて

想像だけでも

分かっていても

恋しがるってそういうことだから

いいの

海風も来るでしょう もうすぐ