大切にされた記憶がないのです
するとどうなるか分かりますか
たとえば愛してくれる人が現れたとて
彼は冗談を言っているのだろうか
何かおかしいのだろうか
気を遣っているのだろうか
はたまた幼心の夢想が過ぎて
幻ではないか
まやかしではないか
妖の類ではないか
宇宙人か
彼が?自分が?
そんな尽きぬ問いが
ぐるぐると
1秒の間に何年分も
ぐるっと瞬足で駆け抜けて
どれも掴めぬのです
当たり前に髪を結ってもらった
望みを叶えられずとも
望みを聞いてもらえた
それが風邪を引いた時
敵と対峙した時
どれだけの力をくれるものか
力を持っている人は気づかぬでしょうし
力を持たぬ人は知らぬのです