緑の声を知った時
私はなんて雑多に生きてる
だからって形ばって
徐に出掛けるのも違う気がする
木々のざわめく中に暮らして
はじめて分かるものよ
幼心に知った傷は数知れず
それと引き換えとでも言うの
木立は確かに胸にもうある
青の声を聞いた時
私はどれだけ都会に来たと
歌のように映画のように
海を見に行こう、は違う気がする
波の寄せ来る浜に暮らした
人々だけが知るものよ
閉ざされた気分に覆われて
ただでさえ小さな世界と
その分
波音は確かにもう胸にある
離れては生きられても
心根に息づくものね
儘ならぬ幼き日々の
引き換えにとでも言うの
青も緑もここに住む