おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

読後の要塞

何度も物語の中に入っていって

戻ってきたけれど

その積りなだけかも知れない

 

彼の思い遣りに気づくのに

10年掛かり

まやかしと現実は溶けあうばかり

大人になれば解るという嘘っぱち

 

戻ってこれなくなったらどうしよう

初めから思い込みだったらどうしよう

 

物語の中に入っていくということは

自我が保てぬという

危険行為

 

あぁ時定めて

神無月

いよいよ頼りもないもので

 

道化に徹してみましょうか

幸い明日は社会的に

きちっと働かなければなりませぬ

現世を確かめにいざ参らんと

 

馬鹿の真似ばかりしていると

本当に馬鹿になると云われたけれど

そんなことで済むのならまだ良いね

 

物語の中に入っていって

そのまま戻ってくられなかった方も

おりましょう

 

もし、もしや

そのような方のほうが多ければ

されど姿が見えないだけで

気づかぬうちに死んでいく

 

そう思い始めると

生きているかもあやしいですね

読後はそういうものです