おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

海前にゆく季節の

約束どおりにはいかないものと

なんとなし分かっていながらね

人は海を前にするとどうして

平気で噓を吐くのだろう

 

制服には砂まじりの

暮れ風来てもう秋すらも去る

置いてかないで

船は汽笛ここまで響かせて

 

大人になったら何てことない

彼れや是れやに縮こまる

もう願うことも忘れたのよ

齢いくつもないうちに

 

砂浜あるくのは

なんら珍しいことではないからね

歌にも思い出にもならない海を

ぼーっと眺めていたのだろう

 

制服のとき過ぎてなお

暮れ風冷かに春すらも身震い

戻ってこないこと

一度も出たことない港で知っていた

 

数年前とは思えないくらい

彼れや是れやを覚える癖

あぁ願うより先に忘れたい

齢重ねて去る前に

 

海前の空白くらい

埋めたいじゃない