おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

乞い乞い夏終り

薄雲のかかった夏終わり

駆け出すも籠るも半端足

泣いたりはしないとラジオから

空元気の響かない歌

 

誰が乞うても降る雨同じ

分かっていながら真似事は

できないものよ

ひとりなら

気ままな暮らしも様になる

 

薄く痺れてゆく手を押さえた

その手もまた危うく永らえただけ

 

いっそ断ちたい彼是を

並べて思って囚われる

盆参りを放った癖

空蝉に現抜かす愚か

 

薄い光の見えた気が

あっという間の大降り出座し

涙雨とはよく言ったもの

空と繋がりたい古の

 

誰の思いが残ったろうか

見様見真似の乞い姿

儚い世にも

ひとつなら

信を置いてもいいかしら

 

およそ届かぬ腕を伸ばした

名残り風鈴はからから鳴くの

 

逃げ延びてきた夢がもし

本当のことであったなら

盆終りに花のひとつ

供えたがよかったろか

 

及ばぬうちに帰らぬうちに

夏が逝くことは知っていよう

 

獣のように貪る飯が

整うことない暮らしが

遠くに繋がれたものであると

知っていよう