朝の冷たい街のなかで風を追っていた
見えないものほど縋りたくなるから
深まるほどに追うような
そのままどこかへ行くような
秋の苦しみは分け合えぬ
葉の色、夕風、何をとっても
また1人で恋焦がれる
明けた時からもう気づいている
人の行き交う街のなかに幻を見ていた
居るはずない自分、捥がれた心まで
声をかけられた思い違いも
白く息の世に出ることも
冬の苦しみは分け合える
寒空、そこが果てなのだろう
辿る途中が引き摺られる
この世のわずかな者が気づいている
朝の冷たい風の中に
暮れを見るのでしょう
十字とまでは言えないけれど
人知れず負えば
秋の苦しみは分け合えぬ
葉の色、夕風、何をとっても
また1人で恋焦がれる
明けた時からもう備えるよう
人の見られぬ夢を少し
分け与えてくれる
秋の苦しみを負う分でしょう
もう気づいている