おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

秋に焦がれる者

朝の冷たい街のなかで風を追っていた

見えないものほど縋りたくなるから

深まるほどに追うような

そのままどこかへ行くような

 

秋の苦しみは分け合えぬ

葉の色、夕風、何をとっても

また1人で恋焦がれる

明けた時からもう気づいている

 

人の行き交う街のなかに幻を見ていた

居るはずない自分、捥がれた心まで

声をかけられた思い違いも

白く息の世に出ることも

 

冬の苦しみは分け合える

寒空、そこが果てなのだろう

辿る途中が引き摺られる

この世のわずかな者が気づいている

 

朝の冷たい風の中に

暮れを見るのでしょう

 

十字とまでは言えないけれど

人知れず負えば

 

秋の苦しみは分け合えぬ

葉の色、夕風、何をとっても

また1人で恋焦がれる

明けた時からもう備えるよう

 

人の見られぬ夢を少し

分け与えてくれる

秋の苦しみを負う分でしょう

もう気づいている