おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

地の気のはなし

電車に乗れば大概の町には辿りつける

外れに住んでも歩けばいつかは着く

そんな人にはわからないでしょう

大気から違う地のことを

思ったことがありますか

 

三つ子の魂

なんと酷な言い伝えでしょう

植えて根づいて離れぬ感覚を

持つ人の

朽ちるまで続く

 

金でも愛でもないのです

ましてや血でも種でもなくて

受け持った魂と地の気が

稀に合わさった時

およそこの世で生きるには

難い心ができあがり

暴れ苦しむこと知っていますか

 

旅をすれば知った気になり

なんと胸打つ息吹でしょうと

薄恍けた感動に

鼻で笑いたくなるものよ

そんな気力も残っていないけれど

 

欲でも見栄でもないのです

まして病や瑕疵でもなくて

託された魂と地の気に

押し潰される弱き身が

なおもこの世で生きるには

言葉を吐いて穢れ見て

堪えゆくしかないのです

 

なんと残酷な地と気のはなし

言い伝えにも残らぬほど

知られず浮いてきただけでしょう

 

金でも愛でもないのです

ましてや血でも種でもなくて

受け持った魂と地の気が

稀に合わさった時

およそこの世で生きるには

難い心ができあがり

苦しみ朽ちること知っていますか

街はずれの明日は雨

灯りひとつもなくていい

寂しいならそこへ行きたい

なんだ平気さというのなら

余計な世話を焼いていたい

 

街から少し外れたところに

お前の心はあるらしい

騙し騙しだというのなら

それに一生付き合っていたい

 

明日は雨

予感だけで

俺を遠ざけないでくれ

歌のひとつも持たないが

そっと熱だけ伝えよう

 

灯りゆらめく街にいて

寄る人はみな煌びやか

そんな世に溺れさせないのは

引かかり続けるか細い声

 

足早になれば遠ざかるような

摑めば消える雪花のような

騙し騙しと己蔑む

お前が美しく見える

 

今宵も泣き

予感がして

俺も少しは分かってきたか

寂しさという名前が嫌いなら

名づけずただ傍に行こう

 

灯りひとつも持たぬ間に

あの賑わいも届かない

潜めて暮らすその息が

何より大きく尊く聞こえて

 

歌のひとつも持たないが

そっと熱だけ伝えよう

明日は雨

予感があるなら

俺も此処に居させてくれ

 

明日の雨

どんな音で

お前の胸に響くのか

灯りひとつもなくていい

そっと熱だけ教えてくれ

祭り待ち過ぎゆく

しゃんしゃん鈴なる

秋祭りを待ってたつもりが

いつ色は変わった

 

慣れない手

縮緬巾着を振り回す

危なかしい子ね

 

あぁ

一生は賜り物といえど

刹那が過ぎる

 

目を閉じて

開けたころには

もう暮れ終える

 

トンタン太鼓の

珍しいのよね 初めての

目を丸くして

 

帰り道は

次の季節の気配すらする

いじわるな巡りね

 

あぁ

一生は儘ならぬ拍手

誰が教える

 

目を閉じて

開けたころには

火も消え落ちる

 

しゃんしゃん鈴なる

秋祭りの気配のはずが

 

心前へと洒落た走り書きに

似つかわしくない

いつも頭にちらついて離れない

私の手を引いた人

 

懐かしい音

危なかしい道の先

 

あぁ

一生は賜り物といえど

刹那が過ぎる

 

目を閉じて

開けたころには

もう暮れ終える

優しさではない道標

せっかく治った風邪がぶり返さないように

慎重に暮らせばいいのにさ

こんな時にかぎって

一生の問いも酸いも甘いも降る

 

石ころ蹴って

そのつもりでも

先に人は無いか

誰も傷つけてはいまいか

 

優しさとは違うのよ

怯えてるだけで

撥ねられたくないだけで

まだここにいてもいいですか、を

弱った体でぼんやりと

 

明日に持ち越したノートのつづき

あなたなら読み解くことも

先を描くこともできるでしょう

生きてるうちには日の目を見ない

masterpieceもあるからってさ

 

優しくはなれないのよ

死にゆくまで腹は黒いままで

あとはどれだけ自分を律し

愛と遠く離れていられるか、でしょ

弱った体でぼんやりと

 

優しさとは違うのよ

怯えてるだけで

撥ねられたくないだけで

まだここにいてもいいですか、を

弱った体でぼんやりと

 

弱いままの心で

ぼんやりと

時のめぐり、消えることより怖いこと

時は終り

まためぐる

君への思いだとか散らす間に

まためぐる

怖いよと

言えぬくらい地を裂きながら

 

君は弱り

要らぬ癖

誰とも言わず終わる命

 

どこにいる?

本当にいる?

思春期のような問いが続く

 

此処にいたとして

本当にいたとして

続く証もないものを

 

怖いよと

言える君が

気づく君が

愛おしくてさ

 

時は弱り

まためぐる

君恋しなどと碑に刻む間に

 

まだいられる?

此処にいられる?

髪の1本から奇跡みたいだ

 

命の糧

何らかの物質

積み重なったか

間違ったか

 

何れにしても

感覚を持ちすぎているが故

実感など持てぬ君は

 

時は降り

まためぐる

消えると見せかけ脅すように

まためぐる

怖いよと

重ねた思いを見届けながら

 

此処にいる?

本当にいる?

消えることより怖いこと

手を握っても

声を聞いても

それが確かとは思えぬこと

 

鏡ひとつ取り出したところで

映るまやかしに思えてなお

 

問いかける

時は終り

まためぐる

それだけでも在れと

或る1日に居て

なんだってまた几帳面に

机の上 紙切れ残して

一体いつの時代の武士

好きになるのもやむないわ

 

悔しいから

言うわけないけどね

 

日の当たりすぎる部屋も

考えものね

昼ひなか

思いにふけるには

少し強いのよ

なんにしても

癒されやしないわ

 

欲に埋もれず物少なに

生きてるつもりの私さえ

下衆な生き物に思えるほど

眩しい高尚はやめてほしい

 

散らかったりは

嫌いなんだけどね

 

薄いカーテンも

買い替え時ね

この町に

居座るつもりなくても

慣れ始めなければいけないなら

 

どこかさっさと出かけていった

武士の分まで飯を炊き

らしくもない撫子になって

待ってみるのも一興でしょうか

 

やっぱり似合わぬことは

やめておくわ

日の当たりすぎる部屋も

考えものね

心が帰り着くまでに

寝落ちないよう

しゃんとしておくわ

あのコの住まう星

星をつなぐためなら幾らでも

空想もするわ

嘘もつくわ

ロマン1つも語れない

そんなつまらない地に

根を下ろしたわけでもないでしょう

 

あぁでもそっか

どうやったって

病だなんだって

かっこつけて

シンドロームだとかって

異質を嫌う

あなた達の中に誰かひとり

あのコを拾って

それで大丈夫よって言ってあげて

 

星をまたいだら思いの外

思いの丈なんて

添えられないわ

ロマンだけでは語れない

現実とやらが覆い被さるのね

あのコの身で耐えられるかしら

 

あぁ心の臓を止めるくらいなら

忘れていいって

ピエロになって

何事もなかったかのように

郷に入って

念じながらも本当は願う

あのコの身の内

心の隅を掬いあげて

 

意地悪な星

空想つなげるより先に

 

どうやったって

病だなんだって

かっこつけて

シンドロームだとかって

異質を嫌う

あなた達の中に誰かひとり

あのコを拾って

それで大丈夫よって言ってあげて

0301の記憶

綺麗な歌を歌う人

憎たらしくてならなかったな

光の中から見ていたら

さぞかし市井は疎かろう

 

石に布団は着せられぬ

押しつけがましく諭す人

何があったとしても、の

その何が所詮許せる範囲だろう

 

道すがら優しい人

別にこんな小娘を邪険に扱ったところで

なんの損も得もなかろうに

どうしてそんなに清らかで

 

何をとっても文句を垂れる

だから幸せになれぬのだと

放っておいてくれ

捻くれ者にはそれなりの

生き方があるのだから

 

綺麗なベベ着て

綺麗な歌を歌う人

憎たらしくてしょうがない

 

あぁ幸せなど手放してやろう

その前に

寄っても来るな

 

真夜中0時か

地下鉄の入り口で

泣いてしゃがみこんでいた

息もうまくできなかった

声をかけてくれた貴女は

確かに優しかった

名も知らぬ人

ありがとう

 

嫉妬と意気地に一生を

吸われるところだった

言いながら尚

 

綺麗な歌を歌う人

憎たらしくて

それでもさ

 

やわらかな記憶を幾つかだけ持って

小さくていいから

後生大事に持って

幸せになどなれないけれど

捻くれ者もそれなりに

生きてゆかねばならぬのだ

春待つ冬の通り

また喉の痛み急に来て

寒よ暦よと取り出せば

虚しくもなる

湯につかり

溺れ死なぬことだけ心す

 

こんなに難しかったろか

桜並木に惚れて通った

中野通りを恋しがる

 

春待つその冬を訪ねたい

なんとささやかな願いが浮かぶ

明日にでも飛んでゆけるかな

現実、電車に揺られれば

行けるはずの街並みが

あぁ遠い楽園に思えてならない

 

ただ花びらが鞄に舞い込んだ

しばらくして気づいてしまった

もう戻れないところまで来た

なんと大袈裟な星の上

 

思えば運命だったろか

桜並木に惚れて通った

中野通りを

生きているうちにもう一度

 

春盛りにはいられない

せめて待ちわびる凍てつく中でも

明日にでも飛んでゆけるかな

現実、いつでも生きた街並みが

あぁ遠い楽園になる前に

 

春待つその冬を訪ねたい

次点だなどと蔑まないで

春呼ぶ

あぁ冬まで恋しいと

思わせる桜並木の記憶

 

虚しくもなれ

中野通りをいっそう恋しがる

やっつけ国道3号

パラパラとめくるノート

大講堂の一番後ろの席

三方から響いてくる宇宙語に酔う

 

胡蝶の夢を知ったころから

否、この感覚がもしやと気づいた時から

真っ当には生きられないな

 

少し息をするために

抜け出し歩道橋から見ていた

国道3号

なんのことはない

ただ平日の午後が閉じただけ

 

庭には窮屈に植えられた草木

本来の居場所でないのなら

整えられたところで、ねぇ

 

胡蝶の夢に酔って尚更

身はこの感覚を表すためにあると

うっすら気づいたふりをする

 

大声で歌う節

自転車走らせて泣いてたもんか

国道3号

憎むのも単純すぎるから

思い出ということにする

 

排気、街灯

優しさの欠片も持たぬのに依り縋る

国道3号

なんのことはない

ただひとり

生きているのか

解らぬ問いを

投げただけの日