おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

声拾いの森

森に迷いこんで

方角に風向きにとらわれるうち

声を失ってしまったの

盲点だったわ

 

当たり前に

足が動いて思いも伝えて

だと思っていたから

 

どうしたらいいの

落してきた甘いお菓子も

今はほかの誰かのもの

 

宵闇が怖いなんて

言ってる場合じゃなかったわ

 

声を失うなんて

思いもしなかったの

 

時の針もどれ

明けの星もゆけ

呪文は呪文は幾らでも

用意があるけれど

 

この森で効くかは別問題だもの

試したことも叶ったこともないから

 

声が出ないと思えばなおのこと

不安に駆られてゆくでしょう?

そのうち本当に一生

口ずさめなくなる恐怖がある

 

最悪ね

言葉はなくしても

メロディーはいてほしいものよ

贅沢だとしても

 

赤ずきんの辿り着く先持つことが

羨ましくすら思えてきたわ

 

声はどこに落ちているかしら

また夜更けも夜明けも

必死で必死でさがすから