おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

押し寄せる季節

うっかり溢さないように

しっかり握りしめた

ホットレモネード

本来こんな飲み物じゃないんだけどな

咳をしても一人の如き部屋

 

朝の日が差せば

目覚めるようにできているらしい

それに逆らうように

弱りゆく身体が憎らしい

 

春は虚ろな気が

蔓延しているようで

それは病より怖いものでしょう

 

彼は元気などと

気に留めるには己が身を

整える必要がありそうね

もう少し眠るわ

 

飲み終えたあとはただの

プラスチックの白いカップ

いのちを救ってくれるわけではないもの

そんなものに囲まれている

後姿のしぐれてゆくことさえ

きっと無い

 

朝のガラス窓を

通して押し入る東向き

例えば逆らおうにも

気怠い身心が憎らしい

 

春は見えない気が

蔓延して気づかぬうちに

生きてもいないのでしょう

 

気をつけなくちゃいけないね

 

春は虚ろな気の所為に

幾らでもできるから

現実と向こう側を

確と見きわめて

 

また何か飲んで

ゆっくり起きてみるのよ