次の電停はもう見えて
歩くが早い
それも一興
幼い日に揺られた電車の
今は日常に溶けこむもの
西浜町
思い出を
大人の僕が追い越すのはいつ
迷いもなくさ
目を遣る海向こうに
魔物も温もりも住むもんな
癒されるのはもっと先の事
死の間際の審判前に
追い遣って
今ただ街に
ゆっくり溶けこむもの
駅前から大橋
息を止めるような思い巡らせ
千歳町
断片の思い出
それでも覚えている不思議
支えるのはずっと前の記憶
生まれるまでの事は知れず
教えられた彼是に
惑わされずに生活を
時に歩くが早い
その道を
電車に揺られ進む意味
十字を切るその時まで
確と日常に溶けこむもの