おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

大きなものへの小さな思案

金持ちの家の子や

真っ当な親に育てられた子を見ると

恨めしくてならなかった

 

けれど

私が選べなかったのと同じように

恵まれている子達だって選べなかったのだから

一方的に羨むのは筋違いかな

 

そこまでは頭で理解した

言い聞かせた

世間の常識良識から逸れた者には

絶対になりたくない

意地のようなものを働かせて

 

では言いようのない劣情を

埋め込みきれない理不尽を

どこにぶつけよう

何と叫ぼう

 

そうして神という概念や

運命とやらが出てくるのだろう

在りもしないものだって

生み出されてゆくのだろう

 

数十年というけれど

実際には遣り様のない一瞬が際限なく続く

飲み込み消化していくには

人間の体は小さすぎる

力が弱すぎる

 

もっと大きな力が働いている所為で

若しくは救いを用意しているおかげでと

唱えて唱えて本当のように

 

時たま社会には

思い描いて言い続けたことが

それが美しい愛だとか前向きな夢だとかではなく

もっと自己中心的な衝動が

本当のことに思える病に罹る者がある

 

いけないことだとして

それもそうかと頷いてしまう

人間が長い時間をかけて

唱え続けてきたことは

やがて組み込まれて感情に行動に表出する

 

思案巡らせれば到底足りない昼夜

元の話が何処にあったかも忘れてしまう

千夜一夜のロマンスも吃驚の

人間に対する考察は尽きない

 

偉そうなことを言っておきながら

また揺り戻る

ただ愛されていたかったという

幼子の感情に

 

いつまで経っても

解った風な口を利いても

そわそわして

吐きそうで

ぽつんと捨て置かれたような

 

そこでまた夕日に泣き星に叫び

大きなものへの転嫁と噛み

騙し騙しに続けていれば

いずれ一生は終る