おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

key

渡されたkeyは

ただの冷たい鉄の塊に思えた

荒れ果てた手を温める

春のほうが待ち遠しかった

 

言い古された言葉に溺れて

愛など信じてやるものか

触れる温かさにやられて

悪い男に騙されるものか

 

夜はしんと

しんとしている

いまは何どき

はるか昔のような

単純な疑問が浮かんだ

 

置いてきたkeyは

思い出せば優しく見えた

幾らでも補正できるもんだ

言い聞かせて朝の橋を渡る

 

押し寄せるような人並みの

逆さを行けば戦士のようで

弱く包まれたただの女とは

思えないような足取りで

 

朝はぐっと

ぐっと明けてゆく

いまはどの辺り

思い返すだけでは

浮かばれない

 

触れる温かさにやられて

悪い男に騙されるものか

 言い聞かせても

 

夜はしんと

しんとしていて

愛の中でなら自由だと

古い歌のようなことが浮かぶ

所詮快楽の下に生まれたと

 

夜はしんと

しんとしている

いまは何どき

愛の中でなら

許されるのかしら