当てもなき田舎町に
当てをつけてやって来る
古い男の西瓜売り
冷やす川も
裏に流れておらぬ
家族は次々に去っても
季節だけ来るものだから
やって来る西瓜売り
大玉小玉
泣く子もいねぇか
木刀も仕舞ったままだ
甘い甘い薄赤の身は
頬張る笑顔のあってこそ
塩かけて静かしく
貪るでもないさ
此方の都合など
お構いなしの西瓜売り
車を止めて話しこむ
買わねば帰らぬ
迷惑も沙汰もない
甘い甘い薄赤の身は
冷やせば手に入る
ひとつ、もらおか