おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

手すさびの庭

埋もれてしまった手すさびの庭

あの子の歌がきこえた気がした

草花に詳しくないくせに

此処を居にした報いがきた

 

武器を手に去った人は

穏やかな縁側を何より好んでいた

片や煮えたぎる

そして煮えきらぬ

憎しみ誹りを持った手は

 

ふと風が吹いたとして

それを感じて歌にする気こころなど

捨ててしまった

もはやなかった

あの子があの人が

いたから感じていただけのこと

 

掘り起こしても手すさびの跡

散らされることのない土が

恨めしくなる前には仕舞おう

雨でも降れば籠ってしまえるのに

 

確かに抱きしめてくれた手が

冷たくなることを知るくらいなら

私が先に

冷めた心の主が消えるべきでしょう

 

また風に押し戻されて

畳の縁につまずいた

痛くもないわ

もはや虚ろな生

あの子にあの人に比べれば

 

埋もれてしまった手すさびの庭

大事に育てる甲斐性もなくて

申し訳など立たぬもの

歌もきこえなくなりそうよ