おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

うんと港町

すっと遠ざかっていく人の

背を見送るのはつらいもの

自分から違うほうを向いた

言い聞かせて幾年か

 

すっとしないままの日常を

あの時の私の所為にして

時たまそれだとつらいから

なぜかあの人の所為にする

 

恋はまやかしとよく言ったもの

抗えぬ

 

今日も変わらず港町

いやに汽笛も響くもの

とりどりテープを今さらに

思い出すのは

少女どき

背けた罰か

生きた褒美か

 

恋のまやかしに酔ったままでは

飛び込めぬ

 

今日も陽気な港町

うんと汽笛も大きくね

グラス酒など注げる年に

なりました

会えぬのなら

そっと思い出すだけでどう?

 

離れた功か

生きた轍か

なんでもいいから飲み干して

 

すっと遠ざかった人の

背に負い文負い

掻き混ぜる