縋りついた腕が
正しい人のものとは限らないわ
明日の天気なんていう
どうでもいいことが流れてた夕
狭い部屋に居たから
何にも知らないって嘆く
そうかしら
見てる景色そのものより
心の内のほうが広いのよ
昔の小説家も言っていたでしょ
ドアを出れば否が応でも
晴れか雨か
はたまた雪か
身形に気を遣う暇もなかったのよね
いいわ とりあえずはそれで
外に出ることのほうが重要
置いてった背中を
恋しがるばかりじゃいけないわ
昨日のニュースなんてもう
流れて消えてゆく暁
爪のまわり皮膚を剝いだ
なくて七癖
それどころじゃないわ
触れる空気そのものより
感じ方が人生に懸かるのよ
どこかの歌うたいも言っていたでしょ
不格好に恥かいても
どうせ生きてゆかなければ
よく言う 今が一番若いって話
あれは本当ね
今ここからでも生まれ変われたら
洒落た街は苦手だから
人の心に敏感だから
せめてもの抵抗して
歩道橋から少し眺める夕
私が俯いても否が応でも
動いている世界が目に入る
晴れか雨か
どちらにしても
明日というものを待つために
世に触れている
心触れていることが重要