おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

嗄れた声のはなし

ずっと声は嗄れていた

幼いころはたぶん違うけど

気がついてからはずっとだ

喉の奥にも何か詰まったような

それが感情か身体かは

今からは探れない

 

ひところ何も話さなくなった

わざとわざわざ声を晒したくはない

恥じらう心も年頃だったろう

閉じてゆく思いと

実際にも黙りこむ

 

不思議なことに

歌が好きで

話したいことも山ほどあって

考えを巡らせれば言葉では追いつかないほど

それなのに

嗄れた声でどうしろというの

 

抱えた矛盾の答えを今

分かりかけているような

 

もっと声は嗄れていった

いっそのこと失くしてしまいたいほど

気がつけば唱える呪文

無論、心の中だけの話

隣に居る人にさえ

届くはずない

 

不思議なもので

歌いたいこと

話したいことも増えていって

考えを巡らせすぎて熱くなるほど

反比例ね

この声が嗄れていくほど

 

抱えた矛盾の答えはもう

見えてきたような

 

ぐっと、ぐっと堪えた様

何ひとつ器用に紡げぬ歌

見ている目があったのよ

伝えるべきがあったはずよ

 

この声は天と繋ぐ

今の星に馴染まないほど

その周波は天に届く

嗄れているのではなく

向こうに合わせて踠くのかも

 

不思議なものね

歌が好きで

話したいことも山ほどあって

考えを巡らせれば言葉では追いつかないほど

 

嗄れたままで叫びなさい

あなたの声は天と繋ぐ