おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

よとぎばなし

言伝があるのです

あなた1人で今夜、1番奥の部屋へ

怖がらずともよいのです

…嘘です

あなたの機微に懸けたくらいだから

気づいてしまわれたのですね

 

あなたを堕とし

世の様を

少しでも潤せたらと

あなたの首を絞め

世の痛みを

欠片でも拾えたらと

仰せです

 

ただ、思った以上につらいものになってしまった

まだ、耐えられるのか

もう、止むほかないのか

 

今夜、教えてくださいとの

 

抱くことはできぬ

まして心に触れる、救い出すなどと

首謀でありながら

この様

殴る蹴るは好きにしてください

後戻りはできないのだから

 

あなたに託し

世の憂い

わずかでも癒せたらと

あなた自身のこと

世の隅で

こんなにも苦しめるとは

八つ裂きにされても

償えないほどの

 

ただ、それでもなお縋りつきたくなる光を負って

ほら、あなたが部屋に

そっと、現れたから

 

毎夜、声を掛けます

 

届くかは知れず

 

あなたを堕とし

世の様を

少しでも潤せたらと

 

あなたの幸せなど

思いもよらなかった

 

ああ、思った以上につらいものになってしまった

まだ、止まない雨か

もう、耐えられぬのか

 

今夜、この部屋から戻れば

また、世に放ちます

毎夜、声を掛けます

まだ、世に報いてください