倒れたりはしないけれど
常々臥せっているような
心持ちではあり
喉の奥は詰まり
誰かに話すという発想も
ないものだから
例えば医療の行き届いた都会に
例えば心砕いてくれる家族に
生まれたとて
僕はこうだったろう
倒れたりはしないけれど
常々生きてはいないような
生まれてこの方
意識がはっきりしたことが
一度もないような
それは
生まれたとすら言えるのか
物理的な話ではなくて
実感が持てぬまま朽ちてゆくのが
病というならそこまでだけれど
何成すでもなく
ただ何かは為して
日常をこなしてきたはずの
倒れたことは一度もないけれど
耐え抜くことが標準だと
幼いころに思いこんだ所為よ
偉くもないし惨めでもない