おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

強靭

倒れたりはしないけれど

常々臥せっているような

心持ちではあり

喉の奥は詰まり

 

誰かに話すという発想も

ないものだから

例えば医療の行き届いた都会に

例えば心砕いてくれる家族に

生まれたとて

 

僕はこうだったろう

 

倒れたりはしないけれど

常々生きてはいないような

生まれてこの方

意識がはっきりしたことが

一度もないような

 

それは

生まれたとすら言えるのか

物理的な話ではなくて

 

実感が持てぬまま朽ちてゆくのが

病というならそこまでだけれど

 

何成すでもなく

ただ何かは為して

日常をこなしてきたはずの

 

倒れたことは一度もないけれど

耐え抜くことが標準だと

幼いころに思いこんだ所為よ

偉くもないし惨めでもない