おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

壊された娘

壊された娘の

宵のうちは

だれにも云えぬ行脚があるのさ

 

離れ

手立てもないだろどうせ

鹿威し

遠鳴り

のように勘違い

 

壊された娘の

心の内は

だれにも知りえぬまま宵に消えるさ

 

爛れ

においの残る畳は

遣らずの

雨鳴り

のどに詰まり

 

壊された娘の

頼みの綱は

初めて胸を浮かせた恋の

甘い記憶が

 

消えても消えても

辿り

命保つにはもう

足りぬ、となるまで