少し冷めてしまった湯を注ぎ
面倒くさがりが茶を啜る
古い家で得た一瞬の
和やかな香りが泣けてくるでしょ
明日には治るか
治れ
美しくとも拒絶したい
まだ来るか
痛みは痛み
称えられることなどないのさ
前に進むなどと世間のたわ言が
垂れ流される通信を切り
ただに今この時を遣り過す
それが人生の大半になりつつある
今日にでも治るなら
治れ
此方としては一向に
構わぬのに
痛みはまた痛み
普通の暮らしが
知らぬ暮らしが
恋しくなって
美しいことなどないさ
無理に称えれば
文字通り傷が広がる
もう冷めきってしまった
茶を啜り
何者でもない手で
傷口を押さえた