チャイムはとうに余韻も消えて
皆が帰ったあとだけど
耳を塞いでいた分の
声たちが今来るようだ
窓辺の席を選んだのは
海を見るためじゃない
いつでも逃げられる心の言い訳と
ほんの時折でいい
恋でもなく目で追うことが
できるから
ひとりぼっちに浸るのに
ほんとは必要ない
後姿を
誰かと笑う横顔を
それでも追った夏でした
チャイムはまた正確に鳴って
虚ろ朧な青春を
崩そうと正そうと
僕らを揺らしているようだ
窓辺の席にひとり居れば
風もすっと入るだろう
いつでも逃げられるはずだけど
ほんの一寸だって
繋ぎとめてくる心揺らぎが
あるから
またね明日その声は
ほんとは嬉しいはずだけど
誰かと笑う横顔を
思い出しては堪えている
それでも目で追った夏でした