雨の気配だけは届く部屋に暮らしたい
切り離されるくらいなら
伝い漏れるほうがマシさ
多少の不便なら
幸い慣れているから
貧乏育ちも
悪いことばかりじゃない
滝雨に見舞われた昼辺
夢かと思っていたけれど
目覚めても確かに打つ
よかった、これは生きている
春の野に出でて
それはそれは慈しい物語
されど遠く離れ病み床も
時に負けてはいないのです
底を知る者にのみ
訪れる手救いがある気がして
貧乏人の僻みだと
笑われようが確信する
地に足着けて生きていたいと
文字通りの暮らしをして
なるたけ風よ雨よに
晒され守られを繰り返す
冷えれば其のまま
ともすれば黄泉も見える
病み床は
幾つかの世界と繋がっているとも取れる