おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

月夜の情歌

周回遅れの人生が

悔しくも情けなくもなるんよね

やっと今 紙を捲って

前を向いたとて

手は荒れている

 

恨みつらみはいかんこと

頭じゃ分かっちゃいるもんね

それが今 思い通りに

筋道立ててはいけない

歯痒さがある

 

通りすぎた電車を

顔も上げず

けたたましい車音を聞くだけで

 

友を失うのは

死に別れとは限らず

愛を失うのは

一瞬の出来事で

 

そもそもの話

得られるとも思えない

身の上です 

 

周回遅れの人生を

思えば泣きたくもなるもんね

小さな手荒れが治ったとて

時間は戻らない

 

妬み嫉みはつまらんこと

ちゃーんと分かっちゃいるもんね

ひとり部屋でぶつぶつと

独り言ちても晴れない

もどかしさがある

 

まんまる綺麗な月を

顔を上げて

綺麗ですねと文寄せる者なくとも

 

死を恐れるのは

生きている実感がない時で

何とでもなれと思うのは

美しい夢から覚めた時

 

いつか理想に辿り着けると

思いこんでいるだけの

身の上です