坂の町
覚束ない足取りを
じっと見てたの
悲しみは散らかすために取っておいて
風のない午後
後姿だけがこの世で確かなものになる
君ならこれからも歩いてゆく
ゆっくりと
褒め称される夜景のころ
もういなくっていいよ
坂の段
1つずつ下りた足取りの
大人になったのね
散らかったままの心を放っておいて
風のない午後
焼きついた記憶を探り探り
乾かない洗濯物を取り込んで
軒に少しさらしておく
夕餉を過ぎて夜景のころ
思い出しもするよ
風のない午後
ただ思い馳せるだけの歳になり
覚束ない足取りもきっと
しかと歩いているでしょう
じっと思う
坂の町