喉元すぎて
暫く経って
もう忘れてしまった頃に
本当の甘味は
そうやって味わうものよ
云うは易いけれど
それはきっと
椅子にもたれ揺らすような人が
いうことでしょう
まだ早いわ
いいの今
平らげてしまいたい
じわと異国の味がした
昔読んだ童話と
無理くりにでも繋げて
そう決めておくわ
単純なこころを
忘れてしまわないように
泣きながら揺りかごにいた時が
いちばん賢いのよ
もう遅いわ
いいの今
墓前のようにふるまって
平らげてしまいましょう
それが甘い味というものよ