思うより冷えた夕
着こんでこなかったこと悔やむ駅
だけど余分は荷が増える
ちょうどよくは難しい
誰にでもある苦を
ひとつ、ふたつ、みつよつと負い
うまく話せなくなってゆく
頭のほうが早くまわって
久しぶりに会ったあなたに
もう会いもしないあの人に
あれよあれよといううちに
朽ちること知らせる真冬の
空が濁って怖かった
連れだって歩く人たちが
たとえばそれが恋人でなくても
にぎやかに揉める家族さえ
眩しくなるのはもう末かな
雪よ風よとその気より
人を見てしまう性を責めるように
また一段冷えて手は
赤い小傷を増やしてゆく
電話の先のあなたに
縁絶ちたいあの人に
そして自分がいちばんに
朽ちること知らせる真冬の
路は湿ってもう半ば