向かい合わせに座ることも
そういえばなかったわね
よもや今生
そのまま会えなくなると
どうして思えたかしら
店の隅にいるのが好きよ
もっというなら世の隅の
物がよく見える場所にいて
あなたを見つけたのだから
色恋に人は歌を詠み
勝手に散ったと慌ただしいわ
いいのよ私は秘りと
苦手な珈琲啜るだけ
噂に落ちていかないように
日夜暮らしを崩さぬように
そうやって胸を落ち着けて
時たまカラコロ
目を遣るの
色恋に溺れ朽ちるなら
もう一巡り知ったつもりよ
ただただ見ていた景色の中に
あなたがいただけのこと
もう甘い珈琲も
許されるわよね