夕凪、涙はぬぐったはずだった
手当たりしだいの自分はげまし
もう戻ることない町を
その時はそれと気づかすに
伝ってゆくんだな
場所から場所へ
流れてゆくんだな
時から時へ
こんなはずじゃなかった
憎たらしい感情の繰り返しだ
夕風、グラウンドに残った
恋の香をたどるような日々
まさか戻ることのない町と
あとから呼ぶことになろうとは
独りよがりかな
移ることも
本当はできるんだよな
遠き小島へ
こんなはずじゃなかった
すれ違いとはこのことだったか
言葉で覚えたものとは違い
ぐっと抉られつづけるようだ
こんなはずじゃなかった
憎たらしい感情の繰り返しだ
夕凪、涙はぬぐったはずだった