おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

齢と夏夕

この腕に

やさしく触れた人ほど

すっと去ってゆくものね

 

齢も折り返し

どうなるか分からぬと言っても

己の弱きは知っています

よくても齢は折り返し

 

もう恋を思い返す節

決してなんにも始まらないわ

 

ゆらり縁側の椅子に凭れる

それは物語の中か

老いた者の特権のように思っていたけれど

もう容易いわ

 

この指に

やさしく触れた人ほど

ずっと心に残るものね

 

夏の激しさは放っておいて

世の中にそんな人がいたとしても

私はやさしさをとります

 

空蝉の夕

葉音は消されて

暮れ暮れも

 

自分でなぞる

いつか触れた手に