何者にもなれぬと君が嘆く時
およそ何者かになれるという傲慢がある
長い歴史を思えば
個人の意志や自己実現など
ほんの始まったばかりの遊戯
けれど幾ら巻物をなぞろうと
人類以前に馳せようと
結局 己の生きる幅でしか
感情は持てぬものだ
だから我儘ではないのよ
肯定できない命を持つのは
苦しいもので
それが己のものであれば
切り落とすこともできなくて
何者にもなれぬと君が嘆く時
およそ何者かになれるという傲慢がある
同時に今の時代を生きる
叫びなんだろう