おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

潮風と花時計

黙りこんだら分からないでしょ

不安になるために来たわけじゃない

待ち合わせの花時計は

物珍しく他所の人が撮る

 

枯れても潮風に晒されても

思い出の補いと

2人の間の場所

 

白い大橋の下を汽笛が

見送る気にもなれなくて

じっと目をそらしてたのよ

知らないでしょ

 

置いてかれる気持ちなんて

 

狭い階段を下れば

潮に触れる

靴も濡れないようにして

 

たまにぎゅっと強く

引っ張っていくのは

怖くなるからひっそりと

 

夕焼け小焼け

怯えすぎた花時計の下

他所の人が美しいと息をのむ

その赤い水面が

 

吸いこまれそうで

連れて行かれそうで

怖くなったの

言えなかったの

 

黙りこんだら分からないのは

私も同じことをしてた

ごめんね明日

待ち合わせの花時計は11時

 

重い荷物を降ろして会える

波打つまで待てない