秋祭りはいつの間にか
終っていたのね
せめて夕刻に立ち会えなくても
兆しや残り香に酔いたかったわ
終わりも終わった気配だけ孕む
細道はまだ怖い
引き摺りこまれる
気が残る気がしている
それは願いでもある
秋祭りは知らぬ間に
終わっているのが役目なのね
花火もなく
実りに感謝を
そう謳うには都会の空気も
大通り
桜の並木までは半年の待ち
駅向こうは嫌に賑わい
跳ね返される
気さえ気になる
これは昂っている証拠
秋祭りは不思議なほど
静かに始まり終わるのよ
たとえば笛に太鼓に虫の音も
参戦したとしてもね
敵わない気が流れているから
持ち堪えるので精一杯なの