おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

夏参り

ゆらっと光のにおいがする

雑多な都会の夜道でも

懐かしく思うことがあるものね

 

墓道の通りには

見えない海から潮風きて

車に気をつけて

そんなことを今はもう

言ってもらわなくても

1人歩けるけれど

 

夏夜の線香、火薬のにおい

くゆらすような気はめぐり

もう堪えきれないよう

ゆっくり閉じてまた開く

アルバムにもない景色が

そっと蘇る夏の夜

 

早く帰らなくちゃ

歌にもそう歌われて

自分には当てはまらない幸せな呪文ね

 

墓道に水を汲み

急な階段を上ってゆくの

顔も知らぬ人の石の前に

手向けるようにいわれたこと

今は遠ざかる

だけど覚えてる

 

夏夜の乾いた気、爆竹の音

けたたましくも地を開き

まだこびり付いてるよ

ゆっくり待ってまた歩く

手も取らせてくれぬ背中が

そっと蘇る夏の夜

 

灯篭の色につけ

世はまた願いに満ちたよう

幼心に覚えたら

離れないよう

 

夏夜の線香、火薬のにおい

くゆらすような気はめぐり

もう堪えきれないよう

 

夏夜の乾いた気、爆竹の音

けたたましくも地を開き

まだこびり付いてるよ

 

夏の夜に

この香に思い起こして

墓道の通りには

参る心も置いている