おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

風上に置けない

貴方が摘んできた花は

白色にも透明にも見えて

すぐに柔らと飛んでいきそうね

確と携えておきたいわ

 

こんな零れそうなものに

触れてもいいものかしら

草原に並べて眺めていたい

けれど

 

朽ちて散る時も

手折られ去る時も

運よく生き延びても

すぐに飛んでいきそうね

 

風上に置けない

 

大事に大事に抱きしめたら

次の瞬間居なくなる

そういう夢を多く見るうち

本当のように思えてくる

 

途絶えたその息も

吹き返すまで待つけれど

誰の身も魔法ではなく

すぐに溶けてゆきそうね

 

風上に置けない

 

花を摘んだ手も

この淡く白い花弁も

吹いて飛ばす好奇より前

大気の営みに負けるわ

せめて

 

風上に置けない