立夏に於いて
弾まずにいられるものか
平素大人しい振りをしても
木々やわらぎ
風が光る時
確かにそれが見えるのだから
苦しみ負った定めにあって
見え聞こえる過敏にあって
損得に付けるは短絡
それでも祈りも込めて思う
誰よりそれが見えるのだから
立夏に焦がれ
三つ指でもついて
あなたのためにいるのですと
潮らしくありたくもなるのよ
風を受ける時
僅かに記憶も来るのだから
胸に迫る
押し迫る
予感だけで腹一杯になるほどの
思い焦がれ
人の世にありながら
気を負い
遥かに遠い昔から
立夏に於いて
めぐる中のいちばんの
高まりを迎える
定めに沿って気を負う者の
ひと時の褒美と承知しています
風よりそれを受ける身ならば