叫ぶような賑わいを嫌って
街を出たはずが
此処もまた人の住む里
煩わしさに変わりはなかった
海の音がすればいいなどと
誰が言ったか
意地汚さと陰険さは
文明とともに晴れてゆくものであり
ならばこの地は未開の闇
来るでなかった
後の祭り
古いノートに書き記された
思い出とはえらい違いよう
息苦しさと寄る辺無きは
風も空も晴らせるものではなく
たんと、この地は未開の闇
綺麗な切り取りに
釣られて来るな
されどこの世は
何処かに汚さを残しておかなければ
保てないものかも知れず
ならばこの地が未開の闇
すべて呑み込んで
朽ちてゆく地