うだる一歩手前
夕刻夏は現れる
泣いたふりした私を
見透かして
通りすぎて
信号はもう変わったよ
いつまで待ってるつもりなの
祭りの音にまた拐かされて
ひとりふたりと人の消えれば
ゆっくり唱えて歩きなさい
夕刻夏は現れる
素直に笑ったふり
夕刻夏は極まれる
家路も弾むことない私を
取りついて
取り除いて
信号がまた変わったよ
ぼんやりしてくと連れてくよ
祭りの音はずんと増して
ひとつふたつと形を消せば
すんなりこころ預けなさい
夕刻夏は極まれる
やり直しのきかない人生がどうだって
今思えばなんてないことを
叫んで悔しがって
なんのことない
まやかしの前に成す術なしとも
びた一文だってくれてやるもんか
それでも唱えて歩きなさい
夕刻夏は現れる