彼女は
歌がそのまま体の中に
棲んでいるような人だった
いつもにこやかにしているようで
少し影を孕む様がもう
惹きつけられて止まなかった
どうしよう
青春の切れ端に
収めておけたら良いけれど
彼女は
此方の気も知らないで
其処彼処で歌っていた
いつもにこやかにしている隙の
少しの憂いを拾いたかった
暴きたい衝動が
どうしよう
青春の暴走にならないうちに
抑えこむので精一杯さ
彼女は
格好気にせず過ごしていた
愛されたいより歌いたいが勝つ
もう存在そのものが
僕を惹きつける麻薬だ
甘い菓を好いて
苦し生い立ちを以て
彼女は
歌をそのまま体の外に
吐きだしているような人だった