おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

7.1

力およそ敵わぬ男に打たれた

ふらふら歩いて峠を越え

狭い船底に乗りこみ

水面より下を見ていた

 

いよいよ沈みこむか

14の夏だった

誰も彼もが忘れても

まだいるまだいる

記憶は止まずに

 

雨の季節と記憶している

けれど快晴

憎らしい渇き

 

逃げるも向かうもない島には

およそ人の言う安らかはない

 

しゃがみこみ息絶える

その直前に唱え唱える

 

知恵をつけろ

意地でも生きろ

歯向かうより淡々と

他所へ行けばいい

 

今は儘ならぬ者もあるだろ

幼な子たちなど特に

耐えて耐えて

生き延びてくれ

 

これはあの日の少女への

ひとり語りでもあるのだから

 

まぶし眩しい西果ての夏

好きな暦も重く被さる

かえりみちなど覚えていない

どうにかこうにか歩いたのだろ