力およそ敵わぬ男に打たれた
ふらふら歩いて峠を越え
狭い船底に乗りこみ
水面より下を見ていた
いよいよ沈みこむか
14の夏だった
誰も彼もが忘れても
まだいるまだいる
記憶は止まずに
雨の季節と記憶している
けれど快晴
憎らしい渇き
逃げるも向かうもない島には
およそ人の言う安らかはない
しゃがみこみ息絶える
その直前に唱え唱える
知恵をつけろ
意地でも生きろ
歯向かうより淡々と
他所へ行けばいい
今は儘ならぬ者もあるだろ
幼な子たちなど特に
耐えて耐えて
生き延びてくれ
これはあの日の少女への
ひとり語りでもあるのだから
まぶし眩しい西果ての夏
好きな暦も重く被さる
かえりみちなど覚えていない
どうにかこうにか歩いたのだろ