おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

宵の呪文

風の冷えれば自然の成り行きで

身凍えるようにできていた

もう一欠け隠し持ったクッキーを

急ぎ入れて床に行った

 

幼き日の記憶と入れまぐわう

もう赤いストーブのにおいが

そこまで来ていた

 

抱きしめられるのは一瞬の

居残る情念は一生の

やれ憎し恋しで

冬など越せるものか

 

自ら孤独の沼に足を突っ込んだ

寂しい奴だと笑われるならまだいい

愚か者だと非難されるのが怖い

 

手放したからには

それで正しかったのだという言葉を

唱えて唱えて

時には呪文になってでも

 

今宵こそ

思い出すより先に

眠り落ちますように