天文に身を置きたいと
思ったことがあったものです
汲み解くよりもむしろ
迷宮に入り込んでいくような
快感を欲したものです
心は空想に満ちて
科学的な思考とは
掛け離れたところにおり
数学の類も苦手です
ただ星を見るのとは
わけが違うのだと知りました
よくよく考えてみると
望遠鏡を覗くよりも
あの星に行きたい
烏滸がましくも
帰りたいなどと
欲したものです
いよいよ月日の流れよりも
光年の行き来に
思いを馳せるようになりまして
また静かな東京の夜に
住んでいるだけです