正しいことが消えてゆけば
私の肩身もこんなに狭くなく
大きな不幸をとは言わないわ
あの子だって少し背負って
食べてみるといい
本当の毒林檎は
甘い果実の名残りもないのよ
急に冷え込んだ秋空に
すっと胸を撫でおろすのは
人と違う煩わしさに
晒されてきたからね
間違いだけが裁かれれば
生きる世界はふわふわと
穏やかだったというのかしら
それならどうして苦を背負って
何時いつ何がありまして
こういう人に関係になりましたとは
言い表せぬ
広く咲き誇る春の野に
何ら嫌悪を感じるのは
人と違う歓びに
掴まれてきたからね