おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

終の廃屋

春はまだか

床に就けば

一日千秋どころでは

 

連れていくなら今

朧げなうちに頼みます

 

月も遠く

空はもう

記憶の隅か

作り話か

なんと惨めな身でしょうと

蜘蛛の糸でも与えぬか

 

辛うじて

雨音、気配

廃屋のそれ

じわと揺れて

 

天は遠く

神はもう

記憶の外に追いやれど

なんと憐れな身でしょうと

地獄の釜も先に見せてくれ

 

天上天下

酸いも甘いも

連れてはゆけぬ思いばかり

 

春はまだか

己が呟きが

昨年か先程か区別もつかぬ

 

記憶の隅か

作り話か

月も遠く

空はもう