おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

嘆きの隣で


嘆きの隣で

 

花を散らすの? 珍しいわね

束ねて供えるものだとばかり

 

この土地の風習なのかしら

眠りびとと決めたあなたのやり方かしら

 

嘆きの隣にいる時には

その嗚咽さえも羨ましく思える

嘆きの隣に立つ僕は何もない

ただ心臓が

 

吹かれ花弁 どこへ行くのよ

弱き背中を やわらか髪を

揺らすだけに留めておいて

 

らしくもない願いが

 

嘆きの隣で物思いは

抉られるよう

はじめからひとりを

優しさ欠片もない僕は

寄り添えぬ

 

風除けくらいに思って

失うも得るも無き身を

 

ただ心臓が溺れるようだ

石に花 止まぬ涙

通りすがりは微笑むほか

 

今隣にあるその嘆きが

疎ましくも 眩しくも

愛した誰かを思うのなら それだけで

 

嘆きの隣に立つ僕は何もない

まだ心臓が