おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

愛と波前

愛が終わるときは

わかりやすくチャイムも鳴らない

海辺の校舎で待ち竦むよな

柔さもない

 

滲んでゆく記憶と

たたかうだけよ

 

指腹に残っていた

触れた日を払いましょう

忘れじの誓いなど

言葉ごと捨てましょう

 

そう上手くはいかないことばかり

終わりしな押し寄す波

 

愛を思い出すときは

触れた日よりも痛く残る

花時計で待ち合わせて

暮れていった陽

 

ぼやけてしまえばいいものを

まだ居残るのよ

 

赤黄に彩られた

季節ごと払いたいわ

握りしめた熱が逃げれば

もう体ごと捨てたいわ

 

そう無下にはできないから

落ち着けないまま光る波

 

愛にたどりつけるなら

傷でも苦でも

受けていいと

年若いころに思っていた

 

愛を忘れられぬなら

知らぬが花は此の事かと

また波前に立つだけよ