おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

信じる狭き世界

信じるしかなかったのよ

神も仏もない国で

空の言う人の言う

正しいだとか伝えだとか

 

身体も頭も侵されたのよ

閉ざされた村で

歴史も碌に知らんから

自分の生きた時空間だけ

 

草を踏み

腰を落として

苗植えた

 

彩りは緑

そして溶ける青

 

信じるしかなかったのよ

地に足を着けた

その生き方が正しいと

吟遊にあればなおのこと

 

心も魂もあったもんじゃない

閉ざされた村は

開けた空に反比例

自分が生きてゆくにはね

五月雨

潤んだまま

生きていてもいいんだよ

 

ねぇもしかしたら

自分で決めた

思いこんだ何かに

そのまま縛られていない?

 

雨は久しぶりの注ぎ

季の巡りに従順

あぁ愛おしこと

 

時に逆さ巡り

人の知らぬだけで

 

潤んだまま

決めこんだものを捨てたり

卑しくも従ったり

間違いではないんだよ

 

五月雨

巡りの中のひとつと

歌い捨てずに立ち止まり

考える考える

 

今この時節に注ぎ

教えるものを考える

夜伽噺

おいでませ

おいでませ

さすってくれてよい話

 

灯りは好きにして

どうせ見もしないでしょ

あとは見も知らぬ

異国の節を遠く聞きながら

 

落ちるとも

落ちるとも

耐えてみせましょ

いずれのぼりゆくまで

 

堪忍ね

堪忍ね

黙っていても漏る話

 

身綺麗にしたとこで

どうせ獣の類でしょ

唯によく知らぬ

異国の神話になぞらえるなら

 

愚かでも

愚かでも

それが生きゆくことでしょ

いずれのぼりゆくまで

 

だーれも知らない

夜伽の話

埋もれて埋もれて

いつか朽ちるわ

 

運よく天に還れたら

それはそれで

またもはじまる

夜の身の上話

しがない暮れ

しがない1日は

面白いほど早く暮れ

夕日だ何だに構ってもらんないや

 

苦に苦を重ねて

嘆いたところでさ

使えるモン使って

生き延びていかなきゃ

 

飯も食えない思いを

1度でも

したほうがいいなんて

嘘っぱちだ

 

駅前の静かも

部屋まで上る騒がしも

関係ないさ

こんなに耳に痛いのに

 

しがない1日は

厭らしく長引いて

贅沢な1人寝も叶わないもんだな

 

苦と苦をうたって

あとは死ぬだけ

こんなに容易いことが

どうしてできなんだ

 

音を失った地球に

急に喋りかけてみて

無視されたような気になってちゃ

世話ねえな

 

やっと暮れる

暮れてくれもう

息つく間もないくらい

乱れてくれて構わんから

忘却のためなら

忘却のためならば

幾らでも積むよ

大して持ってないけどね

 

暦の数え

日々触れるNEWS

葉は擦れ

ヘリもけたたましく

 

何かにつけて思い出し

また思い起こし

そうやって思ったことを

また振り返る

 

幾つ目があっても足りない

視線は積み重なり

情報社会とやらも凌駕する

 

恐ろしいことに

それが1人の人間の中で

行われている

 

だから

逃れるためならば

忘却のためなら

何だってするよ

 

持っていない金も積むよ

必死で働いてさ

ははおもい

あの背に縋ったら

今は変わっていたろうか

五月、風も澄めば

考える

 

静かに家を出て

誰を惜しむこともなく

ただターミナルへ

一直線

 

弱くて

それでいて融通の利かない

もう顔も思い出せないけれど

そういえば私に似ている

 

あの背に縋ったら

何か変わっていたろうか

五月、街が急かし

考える

こえ

地球の裏側まで

届いてくれ

そうでもしなければ

説明のつかないことがある

 

いのちの証は

諦めたけれど

科学は裏切らないのでしょう?

 

いちばん苦手な

いちばん確実な

どうか地球の裏側まで

届いてくれ

 

宇宙の果てまで

届いてくれ

人類が描けることは

すべて実在するという

 

生きても生きても

掴めないけれど

科学が味方でいてくれるでしょう?

 

いちばん遠くて

いちばん確実な

どうか宇宙の果てまで

届いてくれ

宵旋律

知らぬ言葉がいい

身を埋めるなら

特に夜半などは

 

言葉より先

身に入るは

旋律でしょう

 

西洋の香りは

想像でしかなく

風吹きもきっと違うのだろ

 

いいさいいさ

くださいな

酒より柔い宵越しの

 

知らぬ言葉は

呪文のようで

心地がいんだもの

 

身を埋めるなら

浸すなら

旋律でしょう

寄り戻しのささくれ

ささくれた

心は継ぎはぎの

 

水注いでも

光あげても

簡単に生き返りはしないのよ

 

ぼろぼろでいることに慣れた

人の不幸は君の当たりまえ

 

ずぶ濡れだ

今日も明日も

 

たとえば

雨あがると人の歌っても

 

今降られるこの時を

どう遣り過ごすかの話でしょ

 

暮れ時は

憂鬱よりも

安心してしまうくらいだ

 

君がいつもいる平野に

皆も近づいてくるから

 

慣れているものとして

少し鼻が高いくらいだ

 

ささくれは

絶えずつづく

もうこりごりだ

それでもつづく

 

朝明けを迎え入れる力が

無いから

遅寝遅起きの民だ

 

また更けよう

川沿い

川沿いは

美しくなくても

その流れを見ているだけで楽しい

 

行きしな帰りしな

風向きの気紛れ

鼻歌のささくれ

 

もう忘れてしまった頃に

もういちど来た

 

川沿いは

美しくなくても

その流れに沿うだけで楽しい