一度濡れてしまったら
雨は冷たいものとなる
こんな真夏、昼の真中
思い起こして凍えるほどの
傷と呼んで片付けてくれるな
喚き嘆く隙を与えてよ
容易く抉るあの人に
分かるなど言わせてたまるものか
しとしと綺麗に降るからと
甘いものではないんだろ
透明、地に海に帰るからと
舐めてかかってはいけないね
記憶だけで締めつけられる
心囚われる見えないカーテン
もうね濡れてしまったら
その前が思い出せないわ
まさに真夏、地の真中
迷路に入る
見えないのにね
さやさやと川流し
いい音のするとき思い違う
透明、冷やした果実は甘く
見えない雨の味がする
姿かたちを失っても
心囚われる彼の仕業