眠りに落ちてゆくという感覚もないまま
いつの間にか昼も夜もなく
どこの姫でもないくせに
覚ます魔法も持たぬのに
夢を見たら見たで昏く
見えぬ水に追われるような
自分だけ追い詰められるような
よく眠る子だったもの
気にすることもないはずよ
手は痺れて体に力入らなくても
死ぬわけじゃないから
眠れない苦しみなら
世に幾らでも語られているのに
さすれば起きているという感覚もないまま
考え始めたら尚のこと
どこの姫でもない身です
ただ浮き世 long sleeper
目覚めたら覚めたで昏く
夜の不安を知らぬ分
ツケ返すように襲われるのよ
よく眠る子いつの間にやら
大人になって尚つづく
現代ならそれらしい名前もつくだろうけど
分かりっこないんだから
眠り落ちる苦しみなど
世に幾らもないでしょう
こんな話をしていたら尚更
胡蝶の夢どころじゃないわ
よく眠る子だったのは
何やら意味があったもの?
布団深く被って逃げた
夜じゃなくて浮き世から
今もつづく long sleeper
生きることそのものが
虚ろになる
問題ないわけじゃなくてね
問題あることに慣れすぎただけ
また気が優れぬと云いながら
落ちては覚め
人と違う時間に不安を持つのよ